長谷川光志
ハロウィーン
すれ違った救急車にドキリ
今夜はハロウィーン。
たまにしか開いてないバー
店先に座る小さなマリオ。 片膝を抱えて赤と青と
桃みたいな頬。
日没がいきなり風を冷たくして
はて、今日何をした。
空欄を無理やり埋めるように
日記を書くようにして
ひと駅分を歩く。
闇に溶けながら
音楽にうっとりと黒人が揺れる
イヤホンから流れるのは
夜明けの歌だった。
すっかり濃くなった夜の隙間を
ぽつぽつネオンが甘く灯す
ーまるで映画のフレームレート。
ぼくはその気になって
すたすた歩く。
もしもこの道すがら
ばったり君に出会ったら
仮装を全部ひっぺがしてしまおう。
今夜はハロウィーン。