長谷川光志
酒の顛末

久しぶりに酒を呑むために新宿に向かった。
休みの日にしては早くに起きていくつかの用事をすませる。ドクター・エアに15分間ブルブル揺られたあとクウガとはなちゃんにご飯をあげて、それからシャワーを浴びて《ENJOY BOOK LIFE》Tシャツを着る。これで遊びに行きたいとずっと思っていたお気に入りだ。
解消できずにたまったストレスが手に余るとき、それを見計らったように良いタイミングで誘ってくれる友人がいる。それにいつも救われている。今回もそう。
新宿は二十代の頃に予備校通いしたり、駅から近い居酒屋でバイトをしたことがあったりとそこそこ縁のある町ではあったけれど、最近はめっきり「通過駅」のような存在になっていた。新型コロナの深刻さも、乗り換えで新宿駅を通過するときに人があまりに少ないことで身にしみた次第。
そんな新宿に、気の置けない友人と酒を呑むためだけに降り立つ。それだけで気分がいいものだ。気分を盛り上げるため、東海林さだお「大衆食堂に行こう」を読みながら新宿に向かう。早く呑みたい、生ビールが呑みたい、キンキンのやつが呑みたい。嬉しいことに新宿に着くなり雨が上がって日差しが出てきた。
西口喫煙所で友人と落ち合い、その足で思い出横丁へ。
ぐるりとまわって思案したのち「志の笛」という店に入る。カウンターのみで客は5、6人入ったら目いっぱいという感じ。奥に先客の女性二人。店先にさがる屋号の提灯が良い。
生ビール(中ジョッキ)をぐいとあおる。美味い。冷え具合は星ふたつ。平日の昼間、まだまだ日がある時間帯に風を感じながら飲み干すビールはこたえられない。
志の笛は普段は焼き鳥メインの店だが曜日によって串揚げメインになるとのことで、この日はその串揚げの日だった。盛り合わせの串揚げも、牛スジ土手焼きも美味しくて、ビールは進むし会話に花が咲く咲く。
マイブームを披露し合う流れになり、最近観た映画の中から《カタクリ家の幸福》がどれだけ素晴らしい映画かを頼まれてもいないのにこんこんと説く。からの丹波哲郎にハマっている話を添えてみる。まったく俺のこんな話に笑って付き合ってくれる友人には感謝するしかない。
また来ますと店を出て、ヘパを挟みつつ次に向かったのは「魚の三是」。

寿司や刺身など魚をメインに出している居酒屋で、ここは友人のオススメだった。
存在感のある刺身の盛り合わせに、握り寿司に舌鼓を打ったはずみで日本酒に手を出してしまう。美味い…。
Mummy-Dはどうして凄いのかという話題も肴に酒は進んで、気がつけば「お客様、ラストオーダーです。」の時間に。ご馳走様でした、良い時間でした。
正直、お客さんホント少なかったです。新宿のこの立地で?と不安になるくらい入ってなかった。良いお店は無くなってほしくない。気をつけながら、身を守りながら、応援して行こうと思った。好きなものには無くなってほしくない。
閉店時間も早かったので、コンビニで缶ビール買ってしっぽりその辺で大人の話をしていたらあっという間に終電終わっていたので大人のやり方で始発を待つのだった。
「ちょうどいい」がわからない大人たちは、今日もおもーい二日酔いにやられるのです。

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