長谷川光志
白河夜船
起きたときに「あ〜、よく寝た」と感じた最後はいつだったか。ここ数ヶ月、いや数年?それぐらいのスパンで“満足した睡眠”ってない。という人はきっと多いだろうな。
今となっては懐かしいというやつだけど、二十代のどこかの時点で、自分で怖くなるくらいにいくらでも眠っていられる時期があるらしく、そんなとき皆「自分はおかしくなってしまったのでは」と不安になるものらしい。必要に迫られなければ、誰かに邪魔されなければいつまでも寝ていられる時期。
睡眠は一番身近な天国。だけど「寝過ぎて良いことなんてひとつもない」という断定がとても心地よかった。生きている限り最大の休息は眠りで、しかし死も眠りであるし、そしてこの本はやっぱり再生の物語だった。かたくなに再生を、何度でもいつからでも生き直せと訴える。
よしもとばななの本はいつも予備知識なしに、本屋さんでぱらぱらめくって、そのとき心が欲していそうな一冊を選ぶのだけど、いつでも期待を裏切らない。俺の中でよしもとばななは、絶対に裏切らない人ということになってる。エンターテイメントでもありセラピーのようでもある。
「誰にでもわかる言葉で、わたしにしか書けないものを」というのはとてつもなく遠大なテーマで、それは曲にのせて言葉をつないでゆくときにもとても大切なことだ。
ちなみに「白河夜船」ということば。水木しげるの漫画の中でのんのんばあが言ってて、それではじめて知りました。
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