長谷川光志
喪失とは

人生のマスターピース。
なくなってほしくないもの。
なくならないと思っているもの。
喪失とはトンネルのようなものだ。この道を行く以上必ず通らなければならない。入口を入ったら、必ず出口から抜けないといけない。ただその長さがわからない。
今年作った「光」というアルバムの中にもそんな曲がある。それは《面影》という曲なんだけど、まさしく喪失というトンネルをくぐってまた光の当たる場所に戻って行くとき、その光こそが、そしてその場所に自分の足で歩いていこうとする姿勢こそが希望というものなんじゃないかということが大きなテーマになっている。
最も大切なのは「形があること」じゃないからこそ音楽なのに、どうしても、いつまでも存在してほしいと願ってしまう。
光の中に自分の意思で戻って行こうとするとき生まれる圧倒的な力強さと清々しさ。それがこれから歌で表現できるんじゃないか。
「失くなった」ことより、たしかにそれは「存在していた」こと、そこからもらったたくさんのことのほうが遥かに大切なんだから。