長谷川光志
ロックのあけぼの〜BON JOVI〜

はじめて観た洋楽のライブビデオはBON JOVIのウェンブリースタジアム「Live from London」。
はじめて一枚通して聴いた洋楽アルバムはBON JOVIのベスト盤「CROSS ROAD」だった。
はじめて自分で買った洋楽アルバムはBON JOVI「These Days」で、それこそ擦り切れるほど(CDだけど)聴いていた当時中学生の俺をすっかり撃ち抜いて、BON JOVIは長い休止期間に入ってしまう。
切ない期間だった。
切ない期間に過去のアルバムは全部集めたし、海賊版にもずいぶん手を出した。この時期に歌詞とにらめっこしながら覚えた曲は、今でもそらで歌えるのだ。それこそライブ盤のMCから曲中での煽りまで、完コピなんである。カセットウォークマンで聴いていた。あのとき予備校に向かう小田急線でひとり自分の世界に浸り、半眼ノリノリで「You Give Love a Bad Name」を口ずさむ痛い若者を見たなら、それは俺です。
そしてこれはまだ、音楽をやり始める前のこと。
(ちなみにこの「好きになったら活動休止」というおあずけ状態は後にTHE YELLOW MONKEYで再び体験することになる。)
「お前今度うちに来いよ、ボブ・ディラン聴かせてやるから」みたいなロック好き兄ちゃんは俺の人生のロックあけぼの期には残念ながらいなかった。
ロックンロールの目覚めはBON JOVIで、彼らのカヴァーでビートルズやローリング・ストーンズ、サイモン&ガーファンクルやサウスサイド・ジョニー、ドクター・フックなどを知っていった。つまり彼らがロックンロールは受け継がれるものだというのもきちんと教えてくれたのですね。
どんなにヨレヨレになっても、声が出なくなってもずっと好きなんじゃないかと思うバンドを挙げろと言われたら、やはりまずはBON JOVIだろうなぁ。
大好きです。
最後にひとつ。「ライブ・イン・チューリッヒ(CRUSHツアーのライブビデオ)」の《Bed of Roses》の曲中でジョンが奥さんをステージに呼んでチークダンスを踊ったあと、最後にキスしておどけるシーンが(それに対するオーディエンスの反応も含めて)、音楽は魔法であるということを知る最も素晴らしい瞬間でした。
ぜひ見てみておくれ。