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  • 執筆者の写真長谷川光志

ワンマンライブという山。



ワンマンライブが毎年、誕生月(9月)と年末(12月30日)の恒例になった。


恒例とはいえ毎回が必死。ライブの中身はもちろん、集客を含む「カタチ」をしっかり作るのも大切なことで、余裕綽々で当日を迎えられたなんてことはただの一度もない。


自分はなんて求心力のないアーティストかと落ち込んでみたり、早々に予約してくれた人たちの顔を思い浮かべては「そんなことない!こんなに楽しみにしてくれてるじゃないか」と励まされたり。心の天秤が日ごとぐらぐらと揺れてせわしない。ワンマンの前はいつだってそんな状態です。


ではなぜ、やるのか。


ひとつは、ワンマンライブというのは歌うたいにとって夢の舞台だから。


自分だけが出演するライブハウスに、僕の歌を聴くためにお客さんが足を運んでくれる。ならばなんとしてもお店をいっぱいにしたい。キャパシティの大小に関わらずワンマンは特別なんです。みんなの期待と、その裏返しのプレッシャーをひとりで引き受けることは(心の針がどちらにふれているとしても)表現者としての快感なのだと思います。


そのほか思いつくままに書くと、人生で初めて行ったワンマンの鮮烈な記憶が忘れられないこと、30分のブッキングライブではセットリストに入れづらいレアな曲が披露できること、長い時間たくさん歌えて嬉しいこと(これも大きい)、いま現在の自分の立ち位置がはっきりわかること、僕の音楽を好きだと思ってくれる人たちとゆっくり過ごせること。理由をあげたらいくらでも出てくる。


自作の曲を人前で堂々と歌うという(ある意味)クレイジーな生活をかれこれ14年ほど続けてきた。続けるとは恐ろしいことで、本当は恐ろしいさまざまのことに慣れてしまう。

歌が生まれること。毎月ライブをすること。「良いライブだった」と言われること。「素敵な声ですね」「あの曲が忘れられないです」と言われること。失敗すること。悔しい思いをすること。どうやっても曲が書けないこと。自分の声がドンピシャの表現になった瞬間。アドリブが最高の結果につながった瞬間。信じられないような一体感。取り戻せない会場の空気。酔っ払って終電を逃すこと。歌詞を間違えること。僕の歌で泣いてくれる人がいること。野次られること。今日も歌う場所があること。そして僕の歌を聴くために足を運んでくれる人がいること。


ワンマンライブはいつだって大きな山だ。

それはいつも僕を「はじめてのワンマンライブ」に引き戻す力を持っている。油断すればかんたんに鼻をへし折られると知っている。「それなり」のステージは許されないと何回でも僕に教える。「慣れる」ことの良し悪しを恐ろしいほど味わわせてくれる。だからこそ、毎回が挑戦になる。



大きな山をとびきりハッピーに走破する姿は美しいと思う。その姿をみんなに見せたい。そこで笑顔が見たい。騒いでほしいし聴き入ってほしい。心の底から分かち合いたいという思いこそが不安を不安でなくする魔法。


僕は音楽という魔法をずっと信じている。


去年よりも大きな山が見える。


今年もバースデーワンマンが来る。



2022年9月18日(日)

長谷川光志 43th birthday one-man Live

《君は夢/僕は歌》


会場 下北沢ビッグマウス

開場18:30 開演19:00

チャージ¥2,700+オーダー



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