長谷川光志
脳内散歩、道草、転がる。
二月の日曜日、午後4時45分。
向かいの小さな窓から南の空が見えて、
紫を濃紺が浸食している。
たそかれと呟いてみる。
見えくなったらすべてが消えるだろう。
声のしないかくれんぼ。
世界と切り離されるまであとどれくらい?
脳内散歩、道草。
午後4時55分。
濃紺はその濃紺をますます深め
明かりのない深いプールのようだった。
僕はそこに潜りたい。
もうすぐきっとなにも見えなくなるから
僕は見えない水の中で 呼吸なしでいつまでも潜水していられる
秘密の方法を探りたい。
脳内散歩、転がる。
次に窓から見た世界
いきものたちが飛びかい踊り
あまりにアンバランスな翼の小さな鳥
大人の顔をした小人、奇妙に発光する虫たち 図鑑で見たことのないいきものたちが
いっせいにこちらを向いて
笑っていた。
嘲笑のようでもあり 誘っているようでもあった。
数えきれぬいきものたちが
僕自身が遮断した世界へ
僕を引っ張り出そうとするように
いっせいに笑っていた。
見えなくなる瞬間、
何を見るか。
消えてしまうそのときに
僕らはなにをするか。
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