top of page
  • 執筆者の写真長谷川光志

心がけ

待っていたのは、朝日がのぼる瞬間じゃなくて、光線が窓から差し込んでくらくら眩暈がする自分。

目ざめは三日にいっぺんくらいしか気持ちよくないけれど、タバコをふかしたあと階段をおりていくたった14段でからだが目ざめながら軽くなっていく感覚。


シャワーは手際よくしないといつもの急行電車に間にあわないから、出るまえにようく頭を振っておくこと、いわゆるヘッド・バンギングというやつで、これをやるのとやらないとではだいぶ違うんだ。調子がよくないときにやると貧血みたいになって逆効果で、それには注意が必要だけど。


効率化は人生を左右する。

見きわめるんだ、この世界は必要のないことで溢れてる。

俺は思うんだけど、おはようございますと言われて、「ういィす」とかしか返せないヤツがいるとしたらそいつは「ういす星人」だからそのつもりで接したほうがいい。ういす星人はういす星人同士で挨拶をするほうが効率がいいんだ。ちいす星人ってのもいるけど同じようなものさ。中にはかんぜん無視をきめこんでくるヤカラまでいて、そんなときには「聞こえなかったんヤカラ仕方ないか!」とおどけてみせればいいんだ。とにかく、心の通じない人と無理して通じ合おうとする必要はないんだよ。残りの時間ときちんと向き合うことだ。うしろで消えてしまった時間を感じること。振り返る必要はないし、悩む時間なんてないんだ。そう、効率化の話だったね。


ときに俺は気づいてしまった。

たとえばきらいな人間がいて、一緒にいるのもイヤなんだ。価値観が不一致なんだ。できれば顔もみたくない、会話をせずにすむのならそうしていたいってヤツと一緒になにかをしなければならない悲劇が、生きてればどこかのタイミングでやってくるものさ。


そんなとき、原因はたいてい自分の中にある。こちら側の問題なんだ。あいつがどんなに非道なヤツだとしても、イヤだと感じているのは自分自身なんだから。それを脱するための具体策はひとつ、自分がどうふるまうかでしかないことを忘れちゃいけない。つまりは自分を捨てるのか、ヤツを捨てるかって二択なのさ。


自分を捨てればあいつの良いところが見えてくるし、あいつを捨てれば自分の弱いところにフタをすることになるからどちらも変わらないってことなんだ。だからつまり、そういうことなのさ。


とにかく悩んでる時間なんてないんだ。前提がおかしいんだ。ぼくらには保留音を聞きながらあの子が電話口に出るのを待ってるくらいの時間しか与えられていないんだから。


明日はとにかく、シャワーを出るまえに、ようく頭を振っておくことさ。


#心がけ #詩 #待っていたのは #眩暈 #シャワー #ヘッドバンギング #見きわめる #価値観が不一致 #保留音 #二択 #効率化

0件のコメント

最新記事

すべて表示

理由

夏になると蘇ってくる記憶がある。 それは蒸し暑い午後に、祖父の腕まくらで昼寝をした記憶ー。 寝転がって見上げた天井の染み、目の前の祖父の肌、夏の粘り気のある暑さに時々窓から吹き込む風の心地よさなど、そのときの光景や感覚は今でも驚くほど鮮やかに思い出すことができる。 中学校に上がってからはさすがに一緒に昼寝をすることもなくなったから、あれは僕の小学生時代。今から30年以上前になる。 祖父母は浜松で豆

これは間違いだ、ということは間違いがなかった。 「わたしはどこかで道を間違えたんだ。」とはっきり彼女は思った。ただ過去のどの場面で、どの選択を謝ったのかはすぐにはわからなかった。 数えきれない選択のすべてを《正解》で数珠つなぎにしたような、私が歩むべき理想のコースがあって、それをあるとき一歩踏み外したのだ。その一歩がどれだけ致命的であるかを思い知った。 踏み違えたポイントを起点にして、あとはどれだ

bottom of page