長谷川光志
泳げない夢
更新日:2019年10月16日
音楽の海ならば溺れてもいい。
言葉の海ならば溺れてもいい。
ゆらりゆらりと漂っていたい。
波にのまれて息が苦しくてもいい。
ときには暗い深海までもぐっていって
不思議なかたちでひそんでいるいきものを観察、
気がすんだら光のほうに向かってあがっていきたい。
海は生きているからどこまでもずっと続いていて
いろんな障害物のすきまを通って
さえぎるものがない大きな場所にでたら
そこが自分になっていたい。
積み重ねてあったCDと漫画と詩集を
全部崩して部屋を音楽とことばとらくがきで埋め尽くす
その中でたとえば小さな虫になる。
どこまでいっても音楽は流れて、
いつまでたっても物語は終わらない。
虫になってしまったから
グレイプバインはケースに仕舞えないし
逢沢りくを棚に戻すこともできない。