長谷川光志
はじめてのひとめぼれ
更新日:2017年12月8日

これこれ!小学館入門百科シリーズ
「妖怪100物語」水木しげる
三つ子の魂百までというけど、俺という人間の根幹を作ったのはこの本なんじゃないかと思う。記憶の中では俺がまだ小学校に入りたてぐらい。どこに行くにもこれを持って出かけてた。バッグなんてなくて、この本をそのまま手に持ってね。
で、友だちと遊んで夕暮れ、家に帰るときに必ず後悔するの。持ってくるんじゃなかったなあ、怖いなあって。暗いとこじゃ開けないくらい怖かった。中でもこの中にある《つらら女》って妖怪が衝撃的に恐ろしくて。水木しげるの絵がヤバいんですよ本当に。家でもつらら女のページだけ飛ばして読んでたからね。とても恐ろしいものを持っているという実感があって、開かなければなんでもないただの物体なのに、開くととたんに異様な世界に迷い込んだ感じになって、怖い。とわかっていながらも毎日恐る恐るページをめくっては恐怖していた。今日はつらら女を見るぞ!みたいな感じで。
それはつまり快感だったんだと、今はわかる。そして水木しげるの絵に完全に痺れていたんだと。
だから俺のファースト一目惚れは、水木しげるの妖怪画。
この妖怪100物語、初版が1979年とあったので同い年ということになる。そうかそうか。近年刊行された復刻版だと、表紙がすこし優しい色味になってなんかイメージ違うんだよな。おどろおどろしさのパンチがない感じで。
11月30日は最敬愛する水木しげるの命日。