長谷川光志
八木重吉詩集

ミニスカートをうるさいと感じる
生足をうとましく感じる
この瞬間は
どういうことだ
(長谷川光志)
詩集を読むということはその人の人生を生きることかもしれない。
三十年という短い命を、うたをよんで生き切った八木重吉の詩集。頁を何度もさかのぼって繰り返し読み、声に出して読んで、言葉のリズムに重吉のいのちの鼓動を感じた。
片手におさまる一冊の中に、三十年分のいのちがそのまま詰まっている。そして死後も読んだ人の心に刻まれていく。うたうたいの輪廻だ。
わたしみずからのなかでもいい
わたしの外の せかいでもいい
どこにか「ほんとうに 美しいもの」は ないのか
それが 敵であっても かまわない
及びがたくても よい
ただ 在るということが 分かりさえすれば
ああ ひさしくも これを追うに つかれたこころ
(うつくしいもの/八木重吉)
いい詩を読むと自分にも書けそうな気がする。
いい音楽を聴くと自分にもできそうな気がする。
また読みたい詩が増える。