長谷川光志
ステイホーム記②

「博士の愛した数式」
数学などわからなくても問答無用に楽しませるのが映画で、観ている間はわかった気にさせるのが映画。オイラーの公式なんて聞いたこともなかったのに、知ってる気がしたもんね。おいらー。
「80分しか記憶が持たない」というのは強力なパワーワードだし、あのポスターを見るとついありがちな人間ドラマを想像してしまって、今まで観てなかった。でもありがちってなんだろう。不思議だよね、あるイメージに自分で寄せにいって、自分で遠ざけるんだから。観てみたらこれが良いんだ。
学問って世界や真実をどのフィルターを通して見るかという、そのフィルターなんだと思った。きっと映画も同じくで、映画を通して何を見るかということ。何を伝えるか、何を見つけるか。
セリフ然とした台詞を自然に聞かせるのは寺尾聰だからだろうし、本当にどこにでもいそうな家政婦になってしまえる(それでいてめちゃくちゃかわいいけど気にならない)深津絵里。パーカーとジーンズ姿でモップがけしている自然さ。誰でもこうはならないんだ。
溢れ出す幸せほのぼの感を一転して不穏へと導く浅丘ルリ子。ひとり「首縊りの家」レベルの破壊力で、それと四つ巴で世界をつくっていた寺尾聰・深津絵里・吉岡秀隆(とルートくん子ども時代の齋藤隆成)はほんと凄いです。予想をいいほうに裏切った、大好きな映画になりました。
一つぶの砂に一つの世界を見
一輪の野の花に一つの天国を見
てのひらに無限を乗せて
一時に永遠を感じる
/ウィリアム・ブレイク

P.S. 自分の誕生日を調べてたら素数じゃなくて悔しかった。素数に認定したかった。調べたくなると思うよきっと、映画を観たらね。
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