長谷川光志
グッドモーニング
言葉の断片の羅列が真夜中を引っぺがして朝日を連れてくる。記号なのか暗号なのかそれともラブレターなのかわからないDNAレベルで決壊。紡ぎ出された独白が、わたしを読解するなと言っている。読み解くかわりに歌を歌えと言っている。詩を詠えと言っている。
はじめて買ったCDが、家に帰って聴いてみたらインプロだった。再現できないあの日の自分は、なぞり書く理由を失ったはじめてのラブレターそのもので、あの日書いたたった二行が、今でも僕に、目の前の世界をデッサンさせる。
スマホを見ながら突進してくる中年への舌打ちも、階段を駆け下りたい衝動を邪魔する老婆への苛立ちも、アンバランスな恋人たちへの薄ら笑いも、そのあとでやってくる狂おしい贖罪の念も、すべては投函されることのないラブレターだ。
夜を切り裂き、ひっぺがして白日のもとに晒してしまえ。そのとき僕らは叫ぶだろう。
グッドモーニング!
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