
芸術のしあわせ
たとえば僕はシンガーソングライターだから自分で作った歌があるんですね。 そこには自分が書いた詩がのるわけです。 で、CDにしたりする。 そのCDをどう扱うかは手に取ってくれた人の自由なんですよね。 僕が音楽を聴いたり、本を読んだりする。 そこで考えるわけです、この一枚のCDは、この一冊の本はどんなふうにされるのが一番幸せなんだろう。どう扱われるのが幸せなんだろう、と。 僕は想像します。 自分が作ったCDの歌詞カードが何度も読まれて、くしゃくしゃに、よれよれになってたら僕は本当に幸せです。 曲を聴きながら、歌詞を理解しよう、掬い上げようとして何度も何度も歌詞カードをめくってくれていたら。疑問を感じたり共感したりしながら何回もページをめくられていたとしたら、僕は心の底から幸せな気持ちになる。 それから、聞かせたいと思って友人に貸したりする。するとケースに傷がついたり、角が欠けたりとかする。自分にとって大事なCDほどそんなふうにして汚れていくんです。 だから僕は、自分にとって大切なものほど触って触って、手垢がついたり汚れたり書き込んだりボロボロにしたら